・ John Wiese & KK Null / 『Mondo Paradoxa』 → ノイズということでマニアック過ぎる ・ Loose Fur / 『Loose Fur』 → これが一番簡単だったが、その時は思い出せず。 ・ Animal Collective / 『Feels』 → どうしても「アニマル・コレクティヴ」と言いたくなかった。 ・ Queens Of The Stone Age / 『Over The Years And Through The Woods』 → 「石器時代のオカマ達」なんて意味のグループ名は内容を疑われる恐れがある。 ・ R.E.M. / 『Drive』 → "レム"と間違えられる。
さて、このFenn O'Bergなるユニットはその名前が表すとおり、Christian Fennesz、Jim O'rourke、Peter Rehbergの三人から成る、音響界のスーパー・ユニットである。この三人の共通項として、Rehbergが主催者の一人として運営し、FenneszとO'rourkeが傑作をリリースしたオーストリアの痙攣系電子音楽レーベルのmego(現在は名前を変えEditions Megoとなっている。)がある。このmegoが音響界の中心レーベルとしてシーンを牽引し隆盛を極めていた90年代も終わりにさしたかかったころ、このユニットは結成された。ユニットはラップトップを用いワールド・ツアーを行い、そのライブ・レコーディングスを編集・再構築して作られた『The Magic Sound Of Fenn O'Berg』と『The Return Of Fenn O'Berg]』の二枚の傑作をリリースした。その後ユニットとしての活動は無くなり、三者三様の音楽活動を続けていくこととなったが、今年に入り三人が新たなレコード制作のために東京へ集結した。
今回のライブで待望の次作の片鱗を垣間見ることができたが、先頃P-Vineからリリースされた『The Magic Sound Of Fenn O'Berg』と『The Return Of Fenn O'Berg]』の2in1リイシュー盤のライナーによると、次作はスタジオでのレコーディングも計画されているらしい。これはますます楽しみである。
これは、夢なのかもしれない。Jim O'Rourkeの新しいレコードを聴いて、ふとそう想った。古巣Drag Cityからの自身8年ぶりとなるオリジナル・アルバム。アルバム・タイトルは過去3作同様に今回もニコラス・ローグの映画(『地球に落ちて来た男 The Man Who Fell to Earth』)にちなんだものである。アコギの爪弾きからそっと始まる1曲38分の大曲。それを聞いただけでつい身構えてしまいそうになるが、安心して欲しい。冒頭のアコギのフレーズはソナタの様に一つのモチーフとなることもなく、跡形も無く消え去り、すぐさま次の展開へと移り変わる。全てJim本人が演奏するアコースティック&エレクトリック・ギター、バンジョー、ピアノ、ドラムス、管楽器等の音色が幾重にも重なり、マイルドなハーモニーを演出したかと思えば、素っ気無く散り去る。浅い眠りの中短編の夢を続けざまに見ているかのように、アンサンブルは次々と席替えをしていく。最初に本作を聴き終わったとき、正直ピンとこなかった。録音、ミックスがとても良いことだけはわかったが、曲の場面転換が速く、幾つものフレーズが複雑に絡み合っているせいか、自分の脳が情報処理に追いついていないようだった。でも、何度か聴き返すうちに楽曲がほぐれ、耳に馴染んでくるのがわかった。その瞬間に背中のゾクゾクが止まらなくなっていた。しかし、何度聴いてもプレーヤーが止まったときに残る感情は、喜びでも悲しみでもなく、えも言われぬもののままであるが、この感情はそのままそっとしておくのが良いのかもしれない。
#1 Aphex Twin / Windowlicker 私とWarpとの出会いは2000年に遡る(創立当初からのファンなどではなく、ペーペー。)。当時高三だった私はあいもかわらずグランジ〜USオルタナものを聴き漁っていたのだが、特にNINへの思い入れは相当なものだった(haloナンバー順に自室の部屋の床にCDを並べてニヤけてたほどに・・・)。そのNINの代表作『The Downward Spiral』のリミックス盤である『Further Down The Spiral』に収録されているAphex TwinによるリミックスがWarpアーティストとの出会いである。それからAphex Twinはかなりの変態であるという情報を得て、18の誕生日に『Richard D. James Album』を購入した(なんちゅう動機・・・)。これが初購入のWarp作品。この作品を聴いて、それまで「テクノ=Underworld」というほどの貧弱な知識しか持ち合わせていなかった私は、踊れないテクノ=リスニング向けテクノ=根暗なテクノがあることに気づき一気にこの手の音楽にのめりこんでいくのであった。
#2 Boards Of Canada / Roygbiv ご存知のとおり当時の音楽シーンは折りしもIDM、エレクトロニカの最盛期であり、非凡なアーティストが次々とメディアに取り上げられていた時期で、私はまんまエレクトロニカ・ブームの波に飲み込まれていった形となった。Aphex Twinもひととおり聴き、次にハマったのがBoards Of Canadaである。代表作『Music Has The Right To Children』や『Geogaddi』に漂うサイケデリアは、当時大学進学で上京していたuzu青年の郷愁感をひたすら煽るのだった。特に、北へ向かう特急列車で雪の残る山間を線路と併走する小川の煌くせせらぎを眺めながら聴いたこの曲は忘れられない。私のmp3プレーヤー再生曲の常連である。
#3 Squarepusher / My Red Hot Car WarpにはAphex Twinの盟友がいると聞いて聞き始めたのがSquarepusherで、最初に買ったのも本曲が収録されている『Go Plastic』だった。本作は割とノイジーで最初はキーンとする高音が苦手だったが、十八番のドリルンベースや自らプレイするベースが冴えるセッション風の曲など、彼の幅広い作風の楽曲を聴き込むうちに愛すべき存在となるのだった。(My Favoriteは2nd『Hard Normal Daddy』。)
#6 Plaid / Eyen Warp四天王に続くのがPlaid(五天王にしたい気持ちは山々)。もちろん母体であったBlack Dog (Productions)も好きだが、3人から2人になったPlaidでの突き抜けぶりは素晴らしいものがある。私の初Plaidは本曲が収録されている『Double Figure』。本作なら"Eyen"に続く"Sqance"がランクインすると思っていたが、意外。オリジナルではないが、Bjorkの"All Is Full Of Love"のリミックスは素晴らしい。
#7 Luke Vibert / I Love Acid 2004年にラフォーレミュージアム六本木で行われたSquarepusherの来日公演は、ゲストミュージシャン多数のオールナイト公演で、エレグラって言ってもいいんじゃないかというくらいのヴォリュームだった。Squarepusherは自らの第二隆盛期を築き上げた当時の最新作『Ultravisitor』を引っさげての来日であり、気合の入れようといったらそれはもう・・・圧倒的なパフォーマンスだった。そんなメイン・アクトが終わった後にプレイしたのがLuke Vibertであった。彼はSquarepusherの鬼気迫る演奏とは逆に、ユルユルでドープな曲で観客を踊り狂わせた。この見事な落差の演出にヤられた私は、後日彼の唯一のWarpからの作品『YosepH』を買いにレコード屋へ走るのだった。
Mika Vainio / Aineen Musta Puhelin (Black Telephone Of Matter) (Touch) ('09)
Pan SonicのMika Vainioによるソロ最新作がTouchよりリリース。'08年に限定7"『Behind The Radiators』のリリースはあったものの、Touchからのフルアルバムとしては'03年の『In The Land Of The Blind One-Eyed Is King』以来。Mikaといえば、昨年リリース後高評価を受けたØ名義での『Oleva』が記憶に新しいが、本作でも高精度の緻密さを発揮しこれまでに無い完成度を誇っている。冒頭から電子音、ノイズ、ドローン、フィールドレコーディングスが次々と現れてはカットアップされていく。それぞれの音要素が互いに関連性を持つように絶妙に配置されており、音質もとても良い。カラスの鳴き声に始まり、雷鳴とノイズがマッシュアップされ、オーケストラの音まで登場する#2、。過去に共作経験のあるJohn Duncanに捧げられている#3、ラストへ昇り詰める展開がドラマティックな最終曲#7、と聴き所が満載である。アナログとデジタルの狭間を行き来する刺激的かつ幽玄な音世界。このソロ名義での作品は、Ø名義でのそれと比べると非常に実験色の濃い作風となっているが、しかし、案ずる事勿れ。その実験性の背後には確かな情熱を感じ取ることができ、これはこの種の電子音楽が陥りやすい"一方通行なメッセージ"の壁を見事に突破している。ここまでの実験性をしてこれだけドラマティックに心に響いてくる音楽を生み出すことのできるアーティストは、今や彼を置いて存在しないのではないだろうか。
On / Your Naked Ghost Comes Back At Night (Type) ('09)
先日、新宿のタワー・レコード New Ageコーナーに立ち寄った際に、ふと耳に入ってきたのがその時店内に流れていたこの作品でした。一聴して心の琴線に触れる何かを感じ取ったのですが、その時は"Now Playing"のモニターには作品名が表示されておらず、誰の作品なのか解らず仕舞いでした。そして数日後、それがSteven HessとSylvain ChauveauによるユニットOnが'04年にフランスのレーベルLes Disques Du Soleil Et De L'Acierからリリースした作品がTypeから再発されたものだと解り、すぐさまレコード店に買いに走ったのでした。Steven HessといえばPan American等数多くのミュージシャンとのコラボが話題のパーカッショニストで、片やSylvain Chauveauは近年ちょっとした流行りとなっているポスト・クラシカル(このジャンルの括り方は正直好ましくないが・・。)の代表格であり、この二人が5年も前に共演していたのは露知らずでした。二人の演奏するプリペアド・ギター、ピアノ、パーカッション等の音がDeathprodことHelge Stenによるミックスされミニマル・ドローンへと仕上げられているこの作品。全般的にズブズブとした残響たっぷりのモノトーンな作風ですが、曲ごとのドローンの音色はヴァラエティーに富み、決してベタ塗りになることなく、一つ一つの音が明確に響いています。その辺りはSylvainのセンスが少なからず発揮されていると推測するのですが、どうでしょうか? 聴くまで作品の存在を知らなかったが、再発してくれて嬉しい、そんな名盤です。
その後は夕方のNine Inch Nailsまでの間、この日まで連日連夜残業続きだった体にはあまりにも過酷過ぎる灼熱の屋外を避けるように、インドアのステージで65daysなんとかやMercury Rev等を寝ながら鑑賞しました。私にとって人生初の外タレバンドのライブが'01年のMercury Revだったこともあり、その時も演奏した"All Is Dream"(ピカデリー梅田のテーマ、、、違うか・・・)が聴けたときはちょっと感激でした。 そしていよいよNIN。東京会場とは違い、事前のポジション確保も必要無く自然と前10列目くらいまで移動。ツアーメンバーと共に登場したTrent Reznorはサングラスをかけ、ゴルゴ13以外の何者でもない風体でした。一曲目の"Home"をしっとり歌い上げ、続いて"1,000,000"で一気にボルテージが上がります。周りは一気にモッシュの嵐と化し、ここで早くも己の老体ぶりを認識し後方へと避難するのでした。その後も"Terrible Lie"や"March Of The Pigs"等の定番曲や最新作『The Slip』からの曲を織り交ぜ、前日の東京公演ではやらなかった"Head Like A Hole"へ突入。サビのシャウトのところで完全に理性がぶっ飛びました。そしてラストは"Hurt"。疲労からくる脱力感と、「これで最後なのか」という寂しさから、一緒に歌うこともできずただただTrentの声を聴いているだけでした。 全14曲を演奏しライブは終了。人気絶頂だった90年代中ごろにはNirvana亡き後のUSオルタナ・シーンを牽引する役目を背負わされたNINも、00年以降はそのカリスマ性も薄れ、挙句の果てに某音楽雑誌の編集長からは"オルタナの死臭漂う"とも揶揄されるまでになりましたが、個人的には以前ほどの革新性は薄れたものの、コンセプチュアルな『Year Zero』や全編インストの4枚組『Ghosts』での実験性には彼の才能を十分に感じ取ることができました。ともあれ、ここで歩みを止めることとなったNIN=Trent Reznorですが、また何らかの形で音楽活動を再開する日を楽しみに待とうと思います。